SMAPファンでもジャニーズファンでもない人のSMAP解散に関する話

SMAPが解散するらしい。

 

2016年8月14日、所用で深夜まで起きていた私に飛び込んできたのは、そんなニュースだった。

私がこのニュースを最初に知ったのは、なんとなく眺めていたツイッターでの、誰かの呟きだった。解散、とか、FAX、とかいう単語を目にした時は、それが国民的アイドルグループ、SMAPの解散話だとは全く思わなかった。

 

先に私の話をしたい。タイトルにある通り、私は別に、SMAPファンでもジャニーズファンでもない。ただ、幼い頃からテレビというメディアが好きで、画面越しに彼らの活躍をなんとなく眺めてきただけの一般人である。

私が学生だった頃から、彼らはお茶の間の人気者だった。SMAPだけではない。TOKIO、V6、KinKi Kidsあたりのグループが、私の世代のアイドルだった。私が学生だった頃は、かつてTBSで放送されていた、「学校へ行こう!」という番組がちょうど全盛期だった頃で、友人同士でその話題で盛り上がることも度々あった。

そういう環境で、私は育った。けれど、だからといって、特別な誰かのファンということもなかった。歌番組で披露される彼らの新曲は知っているけれど、CDを買うほどではない。テレビドラマに出演している彼らの姿を見ることはあるけれど、ライブ会場にまで足を運んで、熱心に応援するほどではない。ファンでもなく、かといって全くテレビやタレントに興味がないわけでもない、まさしく一般人という立ち位置で、私は彼らの活躍を眺め続けてきた。

 

そんな私から見て、SMAPというグループがどんな存在であったか。

 

私が知っているSMAPというグループは、SMAP×SMAPというバラエティ番組をやっていて、ミリオンセラーを記録するほどの有名な楽曲がいくつかあって、紅白ではトリを務めたこともあって。個々人ではドラマやバラエティで活躍をしていて、最年少の香取慎吾さんはかつてバラエティ番組で慎吾ママというキャラクターに扮していて、草薙剛さんは演技が上手でよくテレビドラマに出演していて、稲垣吾郎さんはナルシストでミステリアスなキャラクターで、木村拓哉さんは高視聴率を記録した有名なドラマにたくさん出ている、日本を代表するカッコいい男性の一人で、中居正広さんはトークとダンスが上手で、けれど歌がヘタクソで。

 

私が持っている彼らに関する情報は、メディア越しになんとなく入ってくるような、ごく限られたものである。それでも、私は、彼らのことをこれほどまでに知っている。

私だけではない。私の友人も、家族も、年の離れた知り合いも、皆、彼らのことを知っている。彼らの歌を知っている。決してとても上手だとは言い難い、あの歌声を知っている。誰も皆、彼らの特別なファンではない。それでも、彼らのことを知っているのだ。

 

 それは、私の感覚で言えば、彼らが「アイドル」というジャンルの中で、唯一の国民的存在である証だと感じられる。

 

 

Twitterで流れてきたこの記事を読んだとき、自分でも信じられないことだが、泣いてしまった。自然と涙があふれてきて止まらなかった。重ねて言うが、私はSMAPのファンではない。私のウォークマンに入っている彼らのCDはたった一枚だし、正直それを全部聞いたことすらない。SMAP×SMAPというバラエティ番組だって、数えるほどしか見たことはないし、彼らの最新曲については、たぶん聞いたこともないし、もちろん口ずさむことも出来ない。

 

それなのに、思わず泣いてしまうほどに、私は彼らの解散が寂しい。悲しい。

 

それは、彼らが存在していることが、「SMAPとして」テレビ越しに元気な姿を見せてくれることが、もはや当たり前になっていたからだと思う。

 

メディアを通じて私たちに元気を与えてくれるのは、他のアイドルグループも同じである。けれど、大変申し訳ないことだが、もし、今回のような解散騒動が他のアイドルグループで起こっても、私は悲しくはならないと思う。ファンであった人々に同情し、大変だな、と思うことはあっても、涙を流すほどの喪失感に襲われることなんて、絶対にないと思う。

それほどまでに、私にとってのSMAPは大きな存在だった。彼らが五人揃って登場することは、とても特別で、安心できることだった。稚拙な言い方をすれば、たぶん、ヒーローのような存在だった。彼らが頑張っているのだから、まだまだ大丈夫。そんなことを思わせる力があった。

私はきっと、彼らの潜在的なファンだったのだろう。そして、そういう人間は、私以外にもそれなりにいるのではないかと思う。そうやって、潜在的にヒーロー視してしまうくらいには、彼らの存在は魅力的だった。

 

ジャニーズファンの方の呟きやブログを見ると、アイドル業界においての彼らの存在が、いかに画期的で重要なものだったのかがよくわかる。四十歳を過ぎてなお、第一線の現役として活躍し続ける彼らは、アイドルという職業の歴史を変えた。そしてそれは、何もアイドルという限られた業界における話だけではないと思うのだ。

今までにも、SMAPが解散危機に陥るようなメンバーの不祥事等があったことを、私も覚えている。それでも、彼らは前に進むことを辞めなかった。夢を与え続ける仕事を、全うし続けてきた。

どんなピンチに陥っても、屈することのない強い絆があるということ。個性も性格も違う五人が、こんなに長い年月をかけて、SMAPというひとつの作品を作り続けていること。それはとても凄いことで、私たちにとっても、一種の希望であったのだと思う。

 

以上、SMAP解散報道について、ファンではない立場から思ったことを書き連ねた。このブログは、この記事のためだけに取ったアカウントなので、おそらくもう稼働することはないと思う。

願わくば、数年後、あるいは数十年後、彼らを蝕んだ厄介なあれこれが消えてなくなり、SMAP再結成の報道が出たときに、再び想いを書き連ねたいなと思う。

 

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